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東京地方裁判所八王子支部 昭和42年(むハ)3号 決定 1967年1月26日

被疑者 流石実

決  定 <被疑者氏名略>

右の者に対する公職選拳法違反被疑事件について弁護人今井敬弥、同山花貞夫、同矢田部理から検察官の接見の指定に関する処分について準抗告の申立があつたので当裁判所は次のとおり決定する。

主文

右弁護人等の被疑者に対する接見を昭和四二年一月二六日中に許さない旨の東京地方検察庁八王子支部検察官鍋倉寛治の処分はこれを取消す。

右弁護人等と被疑者との間の接見を同年一月二六日午後九時から同一〇時までの間において二〇分間立川警察署において許可する。

(裁判官 加藤一芳)

(別紙)

準抗告の申立書

<被疑者、弁護人氏名略>

右公職選挙法違反被疑事件につき準抗告の申立をする。

申立の趣旨

一、東京地検八王子支部鍋倉検事が弁護人との接見指定しない処分を取消す。

二、被疑者両名について弁護人らが昭和四二年一月二六日午後七時から一〇時までの間、被疑者一人につき、三〇分の時間接見することを許可する

との裁判を求める。

申立の理由

一、被疑者らは昭和四二年一月二五日早朝公職選挙法違反の疑いで逮捕され二六日地検八王子支部に送検された。八王子支部では本日右両名に対し勾留請求ないしはその手続をとつている。

二、弁護人らは本日午後三時四〇分頃地検に出向し、接見指定の申請をしたが、担当の鍋倉検事は不在で、昭島署に出向いたということであつた。早速、地検庶務課の松本事務官に電話で検事の意向をたしかめてもらつたところ「本日は指定はできない。明日も勾留質問等でできない。あさつて以降にしてくれ」という返事であつた。

三、しかしながら、弁護人には接見交通権があり、仮に捜査の必要上制限されても、その時間指定ができるのみで全然事実上接見を行わせないのは違法、不当も甚しいものである。

特に担当検事は午後一時頃弁護人とあつた時は、両被疑者ともその拘置先である立川署、福生署(分散留置で弁護人の弁護活動を事実上妨害する意図が窺われる)に午後五時頃には、捜査を終り帰す予定であると言明している。してみれば本日の夕方午後七時から一〇時頃までの間は何ら捜査に支障なく接見を認めなければならない。

四、よつて、右違法不当の処分を取消し、接見指定を希求して本申請に及んだ。

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